地域冷暖房×百貨店

1996年10月にオープンした新宿タカシマヤは、新宿駅前に立地する地上14階、地下1階の広大な売場を備えた大規模商業施設です。180年の歴史を持つ髙島屋は環境対策にも積極的です。中でも新宿店は地域冷暖房などを取り入れており、グループの先端を行く店舗として位置づけられています。新宿店長の堀口建治様に、百貨店への地域冷暖房の導入についてお話をうかがいました。

地域冷暖房は、
百貨店ならではの質の高い空調や
地域への環境貢献にも有効なシステムです。

株式会社髙島屋 執行役員 新宿店長
堀口 建治
(インタビュー:2013年10月)

堀口 建治様

Q1. 地域冷暖房導入のきっかけはどのようなものですか。

髙島屋グループでは、環境方針を定めて地球環境を守る活動を行っており、CO₂削減や省エネルギーという視点から新宿店に地域冷暖房を導入したという経緯があります。また、周囲に多くのビルが立ち並ぶ新宿では、ヒートアイランド現象の対策としても有効であり、地域に貢献できる環境に優しいシステムであることも導入の理由となっています。

Q2. 地域冷暖房導入のメリットについて教えてください。

省エネである点とコスト面でのメリットが大きいです。さらに、地域冷暖房はボイラーなどの設備が不要になるため、このスペースを利用してレストランで使った水をトイレなどにリユースする中水システムを設けたり、駐車場としてスペースを有効活用しています。屋上緑化のスペースを確保できたのも特徴でしょう。もう一つの視点としては、施設の中に冷暖房用の燃料を置く必要がないため、安全・安心なシステムであることも地域冷暖房を評価できるポイントだと思います。

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Q3. 快適な売り場環境のために空調の果たす役割とは。

百貨店のサービスとして、商品や接客はもちろんですが売場環境も重要な要素です。中でも空調は非常に大きなファクターになっています。新宿店は年間2000万人、土日には1日で10万人を越えるお客様が来店されます。そのため空調に関するお客様からの声は多いです。「暑い」「寒い」などに加えて夏季は「冷房しすぎでは?」という省エネ観点のご意見もあります。館内は常に27℃になるよう調整することで、快適に買い物ができる環境を作っています。

Q4. 各テナントやフロアからはどのように評価されていますか。

安定した供給が可能な地域冷暖房は、各テナントからも高い評価をいただいております。基準となる27℃になるように、細かくコントロールすることに気を配っていることが、安心感につながっているのだと考えています。特に催し物会場など多くのお客様が一度に集まる場所や、厨房設備のある食料品関連のフロア、さらには外気が流入する入口付近などは温度コントロールが難しい場所です。快適にお買い物ができるように空調の管理には特に気をつけています。

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Q5. 髙島屋グループの環境活動について教えてください。

髙島屋グループ全体で環境方針を策定しています。特に温暖化防止、CO₂の削減に力を入れています。電灯のLED化による省エネ効果や、簡易包装や段ボールの再利用などを通じて環境対策を実践しています。大規模店は環境に与えるインパクトも大きいため環境配慮は特に大切だと考えています。

Q6. 環境配慮に地域冷暖房がマッチしたと言うことですね。

地域冷暖房を導入している新宿店は、環境対策の観点でグループの中でも最先端の店舗だと言えます。温暖化防止、CO₂削減という重点項目に対して地域冷暖房が果たす役割は大きいと思っています。お客さまに快適にお買い物をしてもらえる質の高い空調に加えて、環境対策にも配慮することができる地域冷暖房は、百貨店にぴったりのシステムだと感じています。

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Q7. 新宿店における環境活動はどのようなものですか。

新宿店の環境への取組みとしては、先にも紹介しました中水システムの設置や電灯のLED化に加えて、店舗内の照度を必要としない部分の電灯の消灯などを通じて電力の削減も実践しています。また、古くなったスーツを回収してリサイクルする活動も積極的に行っており、お持ちいただいたお客さまには生地を再生して作った軍手を差し上げるサービスも実施しています。

Q8. 地域への環境貢献についてどのようにお考えですか。

ヒートアイランド現象をはじめ地域への影響も大きい大規模商業施設ですから、環境対策も地域と連携しながら行っていく必要があると考えます。エリアと一体化して安全で安定したエネルギー供給が可能な地域冷暖房は魅力的です。新宿店が良ければいいのではなく、地域全体で連携して環境対策の責任を果たしていくことが重要だと考えています。

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