西エリアの技術

主な取組み

1.氷蓄熱設備の導入

氷蓄熱設備は国の2004年度「先導的負荷平準化機器導入促進モデル事業」に採択され、更なる安定供給と昼間ピークを迎える電力を夜間にシフトすることによる電力需給の改善とコストダウンを目的として、2004年8月に着工されました。すでに使われている水蓄熱槽を氷蓄熱槽に置き換えた事例としては、当時、国内最大規模で、2005年3月に供用を開始しています。
その後、2011年6月にもブラインターボ冷凍機の導入と水蓄熱槽から氷蓄熱槽への転換を追加実施しました。ブラインターボ冷凍機は、冷凍機で冷却されたブライン(0℃でも凍らない液体の冷媒)によってつくられる氷を使って冷水を供給できる、コストパフォーマンスに優れた冷凍機です。夜間に-5℃まで冷却されたブラインを循環させて氷をつくり、日中は氷を利用して冷水を製造・供給しています。
この取組みに対して、2013年6月に一般社団法人ヒートポンプ・蓄熱センターの第15回電力負荷平準化機器・システム表彰において、振興賞を受賞しています。

2.新型冷凍機の導入

老朽化により効率低下した既存冷凍機を、2014年夏に新型の高効率ターボ冷凍機に更新しました。このエネルギー供給を高効率化するプロジェクトに対して、経済産業省から2013年度と2014年度にエネルギー使用合理化等事業者支援補助金を得ています。

3.CO₂削減

地球温暖化防止に向け、東京都では2010年4月より「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」(改正環境確保条例)を施行、大規模事業所に対し温室効果ガス(主としてCO₂)の削減が義務付けられました。SESでも削減義務を履行するため、前述の取組みを実施し、第一計画期間(2010~14年度)および第二計画期間(2015~19年度)において削減義務量を大幅に上回る削減を達成しております。引き続きCO₂排出量の削減に取組み、低炭素社会の実現に貢献してまいります。

(東西連携の取組み)

4. オペレーション

各装置の制御および監視は、コンピュータシステムによって「中央監視室」で行われます。このシステムは、刻々と変化するお客さまの需要を常に把握し、過不足のない供給を簡単な操作で可能にしました。同時に、季節や天候、時間帯に応じたシミュレーションも行っており、常に安定的かつ効率的な供給を実現しています。
2014年4月からは、夜間の東エネルギーセンターの監視業務を西エネルギーセンターで行えるように、遠隔監視装置の新設と東西エネルギーセンターの中央監視装置のソフトウェアの統一化を行いました。また、2020年10月からは、終日東エネルギーセンターの監視業務を西エネルギーセンターから実施しています。

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5.東西プラントの接続

当社の熱供給エリアは、JR線と小田急線の線路を境に東西に分かれて配置されています。東西の熱供給エリアは需要形態が異なり、またプラントの熱源構成も異なるため、両プラント間の熱融通を行うことにより大きな相乗効果が生まれることが期待されることから、両プラントを導管で繋ぎ、連携運転を行うための工事を進め、2019年度末から連携運転を開始しました。
接続の効果は以下の通りです。

①信頼性の向上

東西プラントの相互バックアップが可能となり、災害時等の業務継続性の向上が図られます。

②効率の向上

東西プラントの効率の高い機器を優先的に使用することによりシステム効率の向上が図られます。