地域冷暖房×病院

新宿駅から徒歩数分という好立地に広がるやすらぎの空間。常に患者様のことを考えた環境づくりと最先端医療の提供により、人々の信頼も厚いJR東京総合病院。同病院にも、約10年前から地域冷暖房が導入されています。病院が地域冷暖房を導入するメリットとは何なのか。
JR東京総合病院から委託を受けて建物の管理を行っている、JR東日本ビルテック(株)の庭野 和彦様と村石 譲二様に、お話をうかがいました。

医療機器の殺菌、清潔な水の生成、
繊細な空調。病院に必要な性能を、
高い精度で満たしてくれます。

JR東京総合病院から冷暖房機器オペレーションを受託している
JR東日本ビルテック株式会社 東京支店 東病事業センター 副課長
庭野 和彦様 村石 譲二
(インタビュー:2011年4月)

庭野 和彦様 村石 譲二様

Q1. JR東京総合病院は、個別熱源方式から地域冷暖房に
切り替えられましたが、地域冷暖房を導入してから
どんな変化がありましたか。

村石|一般的に、病院が地域冷暖房を導入することにより、熱源機器の運転や維持管理など、煩わしい空調業務を行うことなく、24時間365日、安定した供給が受けられるというメリットがあります。我々も以前はボイラーや冷凍機を、つきっきりで監視する必要がありましたが、今はその手間から解放されています。病院は24時間365日業務を行っていますから、機器の監視も24時間体制。その手間がなくなったのは大きな変化ですね。
庭野|私は故障が皆無になったことが大きいと思います。以前は「機械に故障はつきもの」だと思っていましたが、地域冷暖房を導入してからは故障がありません。これは本当に助かっています。

Q2. 地域冷暖房を導入する前は、
具体的に、どのような故障があったのでしょうか。

庭野|例えばボイラーの火がつかないことが、よくありました。火がつかないと、当然、エネルギー供給ができなくなります。するとクレームがくる。クレーム処理にもボイラーの修理にも、人員と時間を割かなければいけなくなる。お客さまの印象が悪くなる…。こんな悪循環に陥ることがあったんですが、今は皆無ですよ。
村石|また故障した場合、復旧にも時間がかかりました。
庭野|部品交換で数日間、モーターの修理なら1カ月以上かかります。その間は運転できなくなってしまいます。
村石|ですから以前は予備のボイラーや冷凍機を複数、置いていました。当然、そのスペースや初期費用もかかっていたわけです。

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Q3. 病院ならではの活用方法はありますか。

村石|例えば蒸気の供給がスムーズなことですね。メスをはじめとした医療用の機器は、使うたびに殺菌・滅菌する必要があります。その時に必要なのが大量の蒸気です。蒸気からつくった蒸留水に消毒薬を混ぜ、再び温めて蒸気にし、医療機器に吹き付けることで殺菌・滅菌するのですが、地域冷暖房なら大量の蒸気も安定して得られます。
他にも、手術時に医師が手を洗う水、薬剤をつくる時の水などに水道水は使えません。蒸留した清潔な水が必要ですので、蒸気の大量供給は助かります。

Q4. 空調に関しては、いかがでしょう。

村石|病室の空調には、非常に繊細なコントロールが求められます。例えば結核のような、周囲に感染させてはいけない病気の場合、病室内の空気を外に出さないようコントロールしています。反対に、ICU(集中治療室)にいる患者様は、廊下など外の空気がICUに入ることで、ばい菌に感染する危険性があります。ですからICU内では空気圧を高くして空気を室外に出し続けることで、外からの空気の侵入を防ぐ必要があるのです。
このような繊細な空調コントロールもスムーズにできるのは、地域冷暖房ならではだと思いますよ。
庭野|他にも、呼吸器系疾患の患者様の部屋は、湿度を60%以上に保たなければいけないのですが、そのコントロールも楽ですね。
また、細胞室では、例えば毒性の強いホルムアルデヒドが充満しないよう、強めの換気を続ける必要があります。そうすると室内がとても寒くなりますが、地域冷暖房の空調なら、室内の医師たちが快適に過ごせるような暖房を送ることができます。

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Q5. 患者様や病院で働く方々からのクレームはありましたか。

村石|今までクレームをもらったことはありません。患者様にも医師の方々にも、自宅の部屋と同じ感覚でいられると喜ばれています。また空調の音も非常に静かですから、入院されている患者様のストレスになることもありません。

Q6. その他に、病院ならではのメリットとして、
実感されていることはありますか。

庭野|当病院では、屋上緑化をしています。これも、冷却塔や煙突がないからできることですね。患者様がリハビリで屋上に行かれることもありますが、煙突があるより花が咲いているほうが爽やかな気分になれると思います。もちろんCO₂削減という観点からも、いいことですよね。
村石|熱源機器がないため、爆発するものがないという安心感も大きいですよ。地震の時など、特にそれを実感します。

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Q7. 最後に、お二人が感じる地域冷暖房の魅力を教えてください。

庭野|安定度と信頼性。そして、様々な機器が不要になることによるメンテナンスからの解放。私たちの業務を本当に助けてくれています。
村石|安心・安全・安定供給。さらにクオリティの高さ。地域冷暖房は100%信頼できます。